保有情報の差分とその扱い
保有情報の差分について
例えば、初期開発を扱うチームと運用保守を扱うチームがあったとします。初期開発チームは初期開発時の要件や、開発したシステムの設計意図について詳しいでしょう。運用保守チームは運用中に発生した課題や改善要望や、継続的な運用に必要な要素について詳しいでしょう。
何も情報交換をしていない場合、それぞれが持っている情報には差分があります。そして、持っている情報は意思決定に影響を与えます。例えば、初期開発チームは開発時に得た情報を元に意思決定をするかもしれませんし、運用保守チームは運用保守で発生する課題や運用改善に必要な要素を踏まえた意思決定をするかもしれません。両者が協力して意思決定する必要があるとき、お互いが判断の拠り所にしている情報を共有しないまま、意思決定の内容のみで話し合っていると意見は真っ向から対立し続けるかもしれません。
関連性の距離と保有情報の差分
- A - 一つのサービスが複数のサブシステムに分かれていて、サブシステムごとにチームがあった場合
- B - 別々のサービスを別々の事業部が扱っていた場合
情報の共有範囲を広げる
例えば、先程の初期開発チームと運用保守チームのケースで考えると、運用からは運用目線から開発時には運用課題やユーザーフィードバックを共有できるとよいでしょうし、初期開発チームからはリリースに関する関連情報や設計指針などの情報を提供できるとよいでしょう。
都度情報を確認する
相手のみが持っている情報を確認する
相手との意見の相違が発生したり、やりとりから不自然な点を感じたりした結果として相手のみが持っているであろう情報を予想する事が必要です。逆に、相手との意見の相違のみに着目していたり、意見の相違自体に感情的になっているとフラットに情報を整理しようという目線が見えにくくなります。
- 相手はなぜそのように考えるのか?
- その背景にはどのような理由があるのか?
自分のみが持っている情報を提供する
多くの場合、普段はチーム内など近い関係者とやりとりすることになりがちです。一方で、隣のチーム・他の部門・他の事業部など普段のチーム外の人とやりとりする場合、話す内容に「自分たちだけが知っている情報」が含まれているかどうか自覚的になる必要があります。この目線自体は慣れの部分があるので即時で出来るようになるというよりは、地道に意識しつつ矯正していくものでしょう。理想的に近い範囲に他者との差異を踏まえて情報を伝えるのが上手い人がいれば、その人を見習ったり、その人から都度指摘をしてもらえるようにするとよいでしょう。
また、相手側からも指摘をしてもらえるように「不明点があればいつでも聞いて下さいね!」などのようなスタンスでやりとりできるとよいでしょう。逆に高圧的な態度をとっていると相手が質問をしにくくなり、お互いの背景の差分を確認しにくくなります。
おまけ - 「情報の非対称性」との違い
まとめ
常に共有しておける情報量を増やすこと。普段やりとりにおける差分を意識し、情報を交換すること。